家の中へ
勝手口から恐る恐る?中に入ります。もちろん何事も起こりません。勝手口から入っているので、仏壇のある部屋までは、5部屋分ぐらいの距離があります。
空き家ですから雨戸は半分ぐらい閉められています。なんとなく異様な雰囲気を感じたので、家のなかに入るとすぐ電気をつけました。
古い家なので電気のスイッチも旧式で、いつ断線や漏電が起きてもおかしくない状況ですが、時々親戚が見回りに来て点検をしてくれているため、これまで特にトラブルがあったとは聞いていません。
ちょっと忍び足気味に台所を横切り、二部屋分を移動すると、建物の中央付近の廊下にあるスイッチ類の場所にたどり着きます。
このスイッチを入れると仏壇のある部屋に電気が点灯して明るくなります。スイッチをぱちんと入れ、その先の廊下の電灯も点灯。
ともかく少しずつ進む度に、付近の証明をオンにして明るくしていきます。当たり前ですが家の中には誰もいません。
ちょっとドキドキしながら障子をあけ仏壇のある部屋に入ります。すると、一歩足を踏み出したその瞬間、部屋の電気が消えました。これにはさすがにたまげました。背筋がぞくっとします。
慌てて廊下をとって返し、スイッチが入っていることを確認。こうなるともう再度行こうという気になれません。そのままスイッチを切り、家を後にしました。
いろいろ理屈は考えられますが、(振動で古くなった線が切れた等)その前のざわめきが気になります。また後日親戚の人が訪れたときには異常はなかったと聞いています。
結局、その年の墓参りはなんとなく不安になり、早々に切り上げ、帰途に着きました。
最近思うことですが、ご先祖様が例え存在したにせよ、現世で必死に生きている私をわざわざ脅かすような真似はするわけない、という考えを持つようになりました。
すなわち、あのときは先祖がいるのだ、ということを私に知らせたかったのではないだろうか、と思うようになりました。
そう考えると何となく納得できるような気もします。