教えられる側の生徒や保護者についてです。最初に前提ですが、いつの時代も大人達は若者達を見て「今時の若者は昔とは全然違う。どんどん悪くなっている。こんなんで日本は大丈夫か」という言い方をすることが多いようです。
私も60歳近くになって、目の前の生徒を見るにつけ、昔とはずいぶん様変わりしたなと思えます。教員が生徒を比較するときは、先ず自分の少年時代を思い浮かべます。そうすると、私の高校時代は50年も前の話しですから、変わっているのは当たり前です。むしろ変わっていなかったらおかしいです。
次に比較の対象となるのは、私の場合は自分が教職に就き始めた今から30年ぐらい前の生徒の様子です。この時もすでに自分の高校時代とは違っているなと言う印象がありました。
時代と共に生徒を取り巻く社会環境や生活環境は変化していますが、良い悪いは別にして、学校の授業形態はこの50年間あまり変化しているようには思えません。相変わらず教科書とノートとチョーク、黒板を使い授業が行われています。
それが良いのか悪いのか、比較の対象がないのでよく分かりませんし、じゃ他にどんな授業形態があるんだと聞かれても、私には答えられません。ただ昔と今をいろいろ比較して、閉塞感のある今の学校環境を少しでも変えられたらなあとは感じていました。
子供を取り巻く生活環境が明らかに変わっきた客観的な証拠は、日本全体の年代別人口分布です。いわゆる少子高齢化社会と言われています。
様々な統計学的なグラフを持ち出すまでもなく、私の世代からその上の世代は、「団塊の世代」と言われ、日本の人口分布では突出して子供がたくさんいました。いわゆる「第一次ベビーブーム」と言われていた頃です。
市街地には子供が溢れていました。日本は高度成長期という輝かしい時期を迎え、生活がどんどん豊かになっていきます。
私が通った小学校は、新しく開発された大規模集合住宅のど真ん中に建てられたため、クラス数は1学年が10クラスぐらいあったと思います。
小学校から帰るとランドセルを放りだして、友達を誘って、近くの公園で「鬼ごっこ」や「缶蹴り」「野球の真似事」などをして毎日遊んでいましたが、ちょっと声をかければすぐに5人ぐらいの友達が集まり、時には10人以上でワイワイ遊んだ記憶があります。