荒れた生徒を取り巻く生活環境

 マナーの悪い生徒が数名いると教室は落ち着きません。靴を脱ぎ散らかし、教室に入ってもなかなか席に着かず、起立の号令がかかっても立ち上がらず、授業が始まっても教科書やノートを出さず、いきなり携帯電話でメールを打ち始めたり、前後の生徒と私語が絶えず、我慢できなくなると突然「トイレ!」と一言叫んで教室を出て行ったりします。

 最近は減りましたが、トイレではタバコを吸い、トイレットペーパーを窓から放りだして吹き流しみたいにしたり、トイレットペーパーそのものを丸ごと便器に突っ込んでみたり、トイレの鏡をはずしたり、掃除用具のモップの柄を折ってみたり、とはっきり言って常識にとらわれている教員には、何が何だか分からないようなことが起こります。

 そのような現場が見つかって、本人に問いただしても、その場を目撃されない限り「俺じゃあねえよ。なんで俺ばっかり疑うんだよ」とひたすら言い訳を繰り返し、最後にとことん問いつめられると、「うるせえなあ、じゃあ好きなようにすればいいだろ」と居直る。

 何回も言いますが、大多数の学校にこのような生徒はいませんが、中にたまたま中学時代からいろいろなことをやって来て、その仲間がそのまま高校に入学してくることがあり、そうなるとその学年の指導は途端に難しくなります。

 ず〜っと似たような話を書き続けて堂々巡りになってしまっていますね。要は少子高齢化によって、子供の人数が減り、集団での遊びの機会が減り、コミュニケーション能力が低下。

 また家庭は核家族化し、両親が共働きという家庭が増え、これまたマナーや躾を子供の教える機会が低下。

 一方学校側は一人一人の教員に成果主義が求められ、数字的な改善を目標として、実績を上げないといけないというプレッシャーをかけられています。

 さらに、コンピューターの導入により、ほとんどすべての書類作成がコンピューターによって作成され、教員は報告書類と会議用の原案作成、教材研究をディスプレイに向かって行うようになりました。

 さらにさらに現状では、携帯電話が普及し、相互の連絡があっと言う間につくようになったのは良いのですが、メールがないと落ち着いていられないとか、片時も携帯を離すことが出来ない等の禁断症状も現れています。(これは大人でもそうですね)

 このように子供を取り巻く環境が激変していった結果、挨拶はもちろん、いわゆる会話による通常のコミュニケーション能力がものすごい勢いで低下しています。

 子供を取り巻く生活環境の変化、学校の中の教員の忙しさについてまとめてきました。これと関連するかもしれませんが、つい先日日本の学校の教育力を他の国と比較した結果が報道されていました。

 ゆとり教育がやり玉にあがり、ここ数年下降傾向だった日本の順位が若干持ち直したという報道です。1位は上海で、他にもアジアの国の台頭が目立っています。

 教育力の順位も、なんだか経済力の順位に似ているなあと感じるのは私だけでしょうか?要するに国全体の力が衰えている、ということなのではと危惧します。

 かといって、1位になることがすべてであるとは思えず、教育の目的は個々の人間が豊かな教養を持ち、自分の生き方に対して自分自身で責任を持って判断し行動できるような人間を育成する所にあると思います。

 そのためにどのような教育環境、生活環境を整えればよいのか、というのが文部科学省に課せられた問題だと思いますが、環境を整えようにも金がない、というのが教育界の現状かもしれません。

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