骨髄、胸腺、リンパ系の場所

 悪性リンパ腫はB細胞、T細胞、NK細胞の異常増殖によって引き起こされるものですが、増殖や成熟は体内の骨髄、胸腺、リンパ節で起きていますので、病態を分類するときはその発生場所が問題になると書きました。

 そこで骨髄、胸腺、リンパ節の場所についてまとめておきたいと思います。なお蛇足ですが、白血球に由来する好酸球、好中球、好塩基球、リンパ球、単球は、それぞれが核を持っていますので、分裂増殖します。その結果、場合によっては異常増殖が起きるわけですが、赤血球や血小板は核を持っていませんので、赤血球や血小板になってしまった後では、こういった異常増殖は起きません。

 つまり赤血球や血小板のガンは存在しないと言うことになります。ただし赤血球や血小板になる前段階ではどうなのかは、ネットで調べてみたもののよく分かりませんでした。

 しかしこれについては、悪性リンパ腫とは違う話ですので、これ以上詳しく調べることはやめにしました。

 というわけで、先ず胸腺の場所ですが、過去に何回か書いているように、胃の上部のみぞおちの少し上に胸骨がありますが、その裏側、心臓のちょっと上あたりに位置します。

 重さですが、新生児は8〜15g、4〜5歳で25〜30gで5歳ぐらいが最大だそうです。(40gぐらいになるというページもありました)10代以降は退縮すると書かれていますので、徐々に小さくなっていきます。

 ということはだいたい成人は20g前後でしょうか。大きさについて書かれたページがないのでよく分からないのですが、お肉20gといえば、ちょっと大きめのかたまり1切れぐらいです。 この中でT細胞が成熟します。

 続いて骨髄ですが、これは読んで字のごとく骨の髄ですから、骨の中心部に存在します。鶏ガラスープなんかを作るとき骨を煮込みますが、その時にじみ出てくるのが骨髄中のエキスになります。

 この中に造血幹細胞が存在し、様々な血球を作っています。骨髄移植なんていう治療がたまに行われますが、要するに健康な人の造血幹細胞を移し替えて、正常な血球を増やそうという治療になるわけです。

 なおこの骨髄中の造血機能ですが、幼児期は全身の骨の中で行われているようですが、加齢とともに四肢の造血作用は失われ、いわゆる胴体部だけで造血作用が行われるようです。

 最後にリンパ系ですが、これは血管と同様に全身に分布します。ただ所々に免疫機能を有するリンパ節があります。

 これらの主な場所ですが、後頭部(いわゆる「うなじ」)、耳の下、首の横、鎖骨上部、脇の下、足の付け根あたりになります。

 悪性リンパ腫の場合は、これらのリンパ節が腫れることによって発見されることが多いようですが、風邪やインフルエンザでも首のリンパ節は腫れますので、即断は禁物です。

 また逆にリンパ節がまったく腫れない悪性リンパ腫も存在します。(私の連れの症状がこれに該当します)この場合は、他の臓器に症状が現れて、その症状の原因究明の過程で悪性リンパ腫が原因と特定される場合があります。(連れの場合は腎臓に障害があらわれました)


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