赤血球の柔軟性が失われる原因

 前ページからの続きです。赤血球の柔軟性が失われるのは

@ 赤血球自体が固くなる
A 複数の赤血球がくっついてかたまったり、一列になったりする

という、二つの原因があるとまとめました。この他にも寿命という場合がありますが、これを人為的に変えるのは難しいように思うので、ここでは省きます。

 では赤血球が固くなるというのはどうゆう状態か。これを考えるためには、今度は赤血球の内部構造を知らなくてはいけません。赤いドーナッツ状の中味はいったいどうなっているのかということです。

 これについて、私の専門である高校の生物の授業では、赤血球は内部にヘモグロビンを含み酸素の運搬を行う、という中学で学ぶ内容を基本的に踏襲するだけで、後は肺と毛細血管で酸素や二酸化炭素の濃度差(酸素乖離曲線と呼びます)によってガス交換が可能になるという説明を進学校あたりではしていると思われます。

 で何を言いたいかというと、要するに私自身赤血球の内部構造についてこれまで勉強したことはないので、以下にまとめる知識は、今まさに調べた内容だということです。

 ただこのホームページを作るに当たって血球の成り立ちを調べたとき、赤血球は造血幹細胞から作られますが、途中で細胞に含まれている核やその他の物質を放出し、内部はヘモグロビンだらけになっている、と言うことは理解しています。

 また赤血球としての形を維持する外側の膜は、これも基本的に細胞の一つですから、細胞膜と同様の構造になっていることも分かっています。

 と言うことはイメージとしてはごく薄い伸縮自在のドーナッツ型のシートがあり、その中に若干粘度のあるヘモグロビンがいっぱい詰まっている、というイメージになります。例えてみればごく小さな粘りけのある水溶液を含んだ水風船という感じでしょうか。

 もしこのイメージが正しければ(正しいと思っていますが)、赤血球がその形を自由に変えられるという事も納得がいきます。

 では逆に@のように、赤血球自体が固くなるというのはどうゆう状態か。水風船説が正しくて、赤血球内のほとんどがヘモグロビンで外部とのやりとりは酸素と二酸化炭素ぐらいしかないと仮定すれば、赤血球内部が固くなると言うことは考えられません。

 だとすると赤血球が固くなる理由は、細胞膜が固くなるということになると思うのですが、もし細胞膜自体が固くなるような物質を外部から取りこんでしまったら、体内のあらゆる場所で細胞の硬化が起きて生命維持に支障をきたすような気がします。

 というわけで赤血球の細胞膜が固くなると言う現象は、細胞膜自体が固くなるのではなく、この膜に動脈硬化と同じようにコレステロールや中性脂肪が付着することに寄って起きる、と考えるのが一般的なようです。

 つまりコレステロールや中性脂肪が血管の内壁(内壁も細胞で出来ていますから、原理は同じです)に付着すれば動脈硬化となり、さらに赤血球に付着すれば脂の固まりのような赤血球になり、柔軟性が失われる上にガス交換もしにくくなるという二重の影響を受けると言うことです。

 従って赤血球の細胞膜が固くなるのを防ぐためには、動脈硬化対策と同様、運動、食事、ストレス解消等で解決できる部分が大きいと言うことになりそうです。


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