熱エネルギーの運搬

 次にでは体内の筋肉や肝臓で発生した熱をどうやって末端の組織まで運ぶのかと言うことが問題になります。もちろん体内のほとんどどこにでも筋肉がありますから、そこでも熱は発生しています。

 しかし手の指先の筋肉と、胴体部や大腿部の筋肉量は明らかに違いますから、当然発熱量にも差があります。

 ということは、やはり何らかの形で肝臓やその他の大きな筋肉で発生した熱を末端に運ばなくてはいけないわけです。逆に言うとこれがうまく働かない場合、末端に熱が伝わらず「冷え」が生じるわけです。

 ではどうやって運んでいるのか?しかしこれも簡単。体内で筋肉や肝臓と結びついていて、なおかつそこで発生した熱をベルトコンベヤのように運び出せる物と言えば血管(血液)しかありません。

 つまり筋肉や肝臓で熱が産み出され、その熱が血流を通して末端の組織に運ばれることによって、手足が暖かくなるというわけです。

 と言うことは、散々説明していますが、動脈硬化やドロドロ血液によって血流が阻害されていると、この暖かい血液を運ぶことが出来なくなり、末端に冷えが生じる、と言うことになります。

 従って動脈硬化やドロドロ血液対策を進めることは「冷え」の解消にもつながる可能性が高いと言うことになりますので、これを先ず優先的に直さなくてはいけません。

 次に熱の発生源である筋肉ですが、もちろん全身にあります。しかしこれも調べてみると全身の筋肉の中で発熱量が最も多いのは大腿部(太もも)の筋肉であることが分かりました。従ってここが冷えると足先も冷えやすくなります。

 では太ももの筋肉を鍛えるにはどうしたらよいか。運動すればいい、という単純な結論になります。つまりウォーキングや自転車、室内ならスクワット等が向いているなと思えます。

 また足先そのものにも筋肉はあるわけですから、もし足先の冷えが強いようならつま先立ちを何回もする、と言うような事も考えられます。

 ただし今このサイトが扱っているのは足先の冷えの解消ではなく、全身の血流改善とあちこちに生じているかもしれない部分的な冷えの解消ですから、そのためには全身運動(例えばラジオ体操やストレッチ、そしてやはりウォーキングや自転車)が良いのではないかと思います。

 こういった運動をすることによって、細胞中のミトコンドリア数も増え、より発熱しやすい体が作られるような気がします。

 さらに蛇足ですが、肝臓も熱の発生源であることを考えると、「腹を冷やすのは良くない」と昔の人がよく言っていた意味が分かるような気もします。

 もちろん腸を冷やしてはいけないという意味合いもあるのかもしれませんが、マンガ等でおじさんが撒いている腹巻きの位置は胃のあたりからへその下あたりの位置で、これはまさに肝臓の位置です。

 つまり肝臓が冷えていると、そこで化学反応が活発に起こらず熱も発生しないわけです。本来的には運動をすればいいわけですが、そうでないときは腹巻きの活用や太ももを冷やさないズボン下の活用が大事なんだなと、漫画に出てくるおじさんの図を思い浮かべて苦笑いです。


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