治療内容が難しく、私の一存では決められないと判断し、Yの妹さんと共に、再度説明を聞くことにした。
7月4日(水)、転院17日目。今日はYの妹さんが病院に来て、新しい療法について相談する予定。私も同席する。いつもの時間に病院着。すでに妹さんとお母さんが来ていたので、昨日の主治医の話を私なりに要約して伝えた。
病室に入りYの症状を確認する。軽い咳が出ている。眠気はなさそうだったが、あまり生気はない。
熱は朝方36.9度だったが、今は37.5度に上昇。体重減少中(ひたすらやせていくのではと心配になる)。カリウム値が高くなったため、減らす薬、カリメートを服用している。散剤なので粉が気管支に入って咳が出る。これが苦しそうだ。点滴はいつもの栄養剤。
主治医があらわれ、妹さんとYのお母さんを交えて面談。話の内容は基本的に昨日と同じだが、いくつか質問も行い、新たに分かったこともある。例によってこれまでの経過を説明後
「肺の影は薄くなっていますが、治療を行わないと完治はしません。腎臓の数値はかなり回復しています」
Cyclo BEAP療法について、さらに詳しい説明を求めると
「Cyclo BEAP療法の投与例は全国で数百あります」(多いのか少ないのか良く分からない)
「また7〜8年の歴史があります。使用する薬剤は6種類の抗がん剤とリツキサンを併用します。目的は、短い間隔で計画的に薬剤を投与して、リンパ腫の活動を抑えることです」
「副作用は吐き気、脱毛、便秘、口内炎等の他に、血液中の白血球がゼロに近い状態まで下がります。(骨髄抑制と呼びます)そのため必ずと言っていいほど、なんらかの熱が出ます。発熱には抗生剤で対処します」
この療法を採用する根拠は
「寛解率が8割と高いためです。R―CHOPですと5割程度です。(だとすれば、R-CHOPより優れていて標準治療となりそうだが・・・)ただし、大量の抗がん剤が使用されるので、若く体力がある人しか出来ません」
(つまりそれだけ体に負担が大きいと言うこと。しかし当時は8割と言う数字に目がくらみ、体力やQOLということをまったく考慮していなかった))
妹さんやYのお母さんと相談したが、我々にこれとは異なる治療方法を提案できる力量は無く、この時点では医師団の判断に任せるしかなかった。
しかし今改めて尋ねられたら、体への負担がより少ないR―CHOP療法を選択していたかもしれない。(寛解率が高い)=(治る)、ではなく、(寛解率が高い)=(治る可能性も高いが、副作用が強く出るため体への負担も大きい)、という等式が成り立つことが分かったからだ。
ともあれ、このときはいったん病室に戻り、本人立会いのもとで治療への承諾書を記入し、主治医に渡すしかなかった。
医師からは最新の血液検査結果が手渡された。素人目でも各種の数値が正常値に近づいているのが良くわかる。(HとかLとかが減っている)あとは本格的な治療を行うタイミングを待つのみである。