発熱、そしてひたすら輸血

 10月12日(日)、再々入院49日目。

 毎週のように土日は病院通いが続くので、ストレスもたまる。息子も寂しそうにしているので、Yの体調が良いことを見計らって、日帰りで息子と共に大洗に出かけた。目的地は大洗水族館である。ところが例によって、こんなときに限って発熱が始まる。

 突然37.7度の熱。どうやらCVからの炎症のようだ。数日前からCVが挿入されている箇所に違和感があったらしいが、楽天的な性格のYはあまり気にしていなかった。

 このCVの管は一ヶ月半ぐらいが連続使用の限度らしい。この時期を過ぎると雑菌が繁殖し、骨髄抑制の効いている体では炎症が起き発熱することが多い。

 この日は血液検査結果で赤血球と血小板も不足していることが分かり輸血。その後いったんCVを抜いた。

 13日(月)は息子と共に病院へ。途中のお弁当屋さんで昼食を購入。談話室で一緒に食べる。昨日は突然の発熱だったが、今日は熱も下がっている。調子は良さそうだ。CVの管から解放されたので身軽になり、動きも楽になった。

 14日(火)〜21日(火)。若干微熱が続くものの、38度を越えることはない。処方された感染症治療のための抗生物質(フロモックス、セフォン、クラビット)が効いている。

 しかし常にノイトロジンを入れている。確かに白血球は増えているが、昨年の増え方とは明らかに違う。血小板の回復はさらに遅い。数日おきに輸血をするような状態だ。

 白血球もノイトロジンを入れている間は良いが、中断するとすぐに落ちてくる。自力で回復できなければ、一生輸血とノイトロジンのお世話になるしかないのか。それが治療といえるのか。命を失うよりはいいだろう、と言われれば返答に窮するが。

 22日(水)。昨年の入院時、退院時、今年の入院時の三枚のレントゲン写真のコピーをもらう。比較してみたが劇的に変化が表れているわけではない。

 石灰化という所見は正しいようにも思えるが、それなら呼吸そのものに息苦しさは感じるはずだが、Yはそのようなことを一言も言わない。不思議としか言いようがない。

 血液検査をすると相変わらず白血球、血小板の数値が低い。しかしYの体調は特に問題ない。ただ常にノイトロジンや輸血の世話になっているようでは、先が思いやられる。

 自力で回復するような期間を設ける必要はないのだろうか。それとも、そんなことをしていたらリンパ腫の細胞が勢いを増してしまうということだろうか。

 インターネットや図書館でいくつかの症例を調べてみるが、Yの症状に該当する(特定の場所にはれが見られず、肺に影が出る)ものは見つからない。

 25日(土)。息子と共に病院へ。本来なら昨日から外泊の予定だったが、金曜の検査で血小板が少ないことが判明したため、またまた外泊延期。血小板の輸血も行った。

 いつものように談話室で昼食。その際治療継続について疑問を持っていることを、Yにも率直に伝えた。またどうしても継続しなければならない場合でも、年末年始に外泊できるように治療の期間を調節してもらうよう、要望も伝えることにした。

 Yも私の考えを理解してくれ、自分からも主治医に疑念を伝えたようだが、答えはやはり私の時と同様、治療を継続することに意味があるという説明だったようだ。しかし年末年始の外泊については配慮してくれることになった。

 27日(月)。血液検査結果がようやく良好となり、この日から2泊の外泊が許可された。私は仕事があるので、実家にお世話になった。


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