5クール目に突入

 10月31日(金)、再々入院68日目。

 悩みつつも、結局何も決断できないまま、治療開始の日を迎えた。今日は抗アレルギー剤とリツキサンである。

 11月1日(土)。息子と共に病院へ。談話室で一緒に昼を食べるのが習慣になってきた。唯一家族がゆっくり交流できる場である。4日(火)。今日で5クール目の抗がん剤が終了。7日(金)まで特に問題なし。

 8日(土)。息子と病院へ。例によって、かなりだるさが出てきたが熱はない。血球数減少の影響に間違いない。それ以外に特に問題ない。

 10日(月)。多少微熱あり。抗がん剤が終わるとすぐにノイトロジン連続投与となる。感染症を心配してのことだが、ノイトロジンの副作用が気になる。血球数が減少し、赤血球、血小板共に輸血。

 12日(水)。38.5度まで熱が出る。抗生剤や解熱剤が処方される。抗がん剤の治療は、つまるところ副作用をいかに封じ込めることが出来るかにかかっている。

 しかし所詮は人工的な薬剤だ。もっとも効果があるのは、自分自身の白血球だ。その意味ではノイトロジンの連続使用もやむを得ないのかもしれない。今日も血小板輸血。

 13日(木)。熱が下がらない。抗生剤で細菌の繁殖を抑えつつ、ノイトロジンで白血球の増加を待つ。これの繰り返し。

 しかしクールを重ねるごとに血球の回復時期が遅くなるので、それだけ感染症にかかる率が高くなるし、治りも遅い。やはり4回でやめておけば良かったか。不安に思いながらも、週末が山場だろうと自分を納得させる。

 14日(金)。38度代は出なくなったが、それに近い熱が続く。体力的にも辛いはずだ。しかしY自身は、これまでの経験から発熱は当たり前と思っているらしく、弱音を吐かない。

 治療が終わり、外泊や旅行に行ける事を目標にして耐えている。食べ物の好みにうるさいことを除けば、病院にとっては手のかからない模範的な入院患者だ。

 ノイトロジンの効果によって、ようやく白血球が増加に転じた。しかしCRPは9.88とまだ高いので、今後もしばらく発熱が続きそうだ。

 抗生剤も処方されているが、白血球が増加してこないかぎり、薬だけでは熱は下がらない。16日(日)まで同じような状態が続く。 

 17日(月)。ようやく熱が下がってきた。今日は久しぶりにシャワーを浴びることが出来、さっぱりしたようだ。それでも熱は最高37.6度まで上がった。あとは血球の回復待ちで、最後のクールに突入する。

 18日(火)からは平熱になった。次のクールを行う前の、体調の良い時期を迎えた。ただし血小板は46と回復がひじょうに遅い。輸血を毎日のように繰り返すが、正常値にはいたらない。

 主治医は「治療期間が終われば、自然に回復しますよ」と説明するが、輸血を行ってもその効果は短期間で、だらだらと低い数値が続くのを見ていると、本当に回復するのか自信が持てない。

 熱は確かに平熱に下がったが、この間ノイトロジンも抗生剤も連続投与となり、昨年の使用量より明らかに増えている。骨髄抑制はもとより、体全体の抵抗力が少しずつ奪われているのではないかと思える。そんな状態が22日(土)まで続く。


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