ようやく熱は下がったが

 12月10日(水)。再々入院118日目。

 37.7度まで発熱。予想していたことではあるが、できれば予想がはずれて欲しかった。発熱の一因として、CVの管の影響も軽視できないため、いったん抜くことになった。

 身軽になるのはいいのだが、各種の薬剤を腕の点滴から入れなければならない。薬の種類によっては、注入されるときかなり痛いらしい。

 11日(木)。熱は相変わらず38度近い。私自身も仕事が忙しく、疲れが溜まっていたのか月曜から風邪気味である。

 家族が風邪をひいたりしたときは、原則として面会も出来ない。咳もくしゃみもしないように、10分ほど病室を訪問。相変わらず血球不足でだるそうだった。

 昨年の入院時もそうだったが、この時期はインフルエンザも流行るので、細心の注意が必要だ。これまで受けたことのなかった予防接種も、昨年から家族全員受けている。今回の発熱も、当初は私が風邪をうつしたのではないかと、心配していた。

 この間17日(水)まで、熱は38度直前で上がりもしないし下がりもしない。一方血球不足を補うために、数日おきに血小板が輸血されている。

 そんな状況をメールで知るにつけ、本当に6クールもやってよかったのかと後悔する。しかしすでに治療は終えているわけで、いまさら悔やんでもしょうがない。

 主治医もなかなか熱が下がらず、血球が回復しないため、Yに対してかなり神経質になっている様子がよく分かる。

 抗生剤も新しくフィニバックスが加わり、これとアミカシンと解熱効果のあるサクシゾンが併用されている。家族の心境としては、一刻も早く体力が回復することを願うばかりである。

 18日(木)。熱がようやく37度代前半まで下がってきた。ついに最後の厳しい副作用時期を脱出したかのように思えた。待っていたかのようにCTとレントゲン撮影が行われた。一方血球数は相変わらず少なく、血小板輸血が続く。

 と同時に熱は下がったものの、空咳が出始めた。なんとなく喉のあたりに違和感があるらしく、またもやどこからか風邪をうつされたかと心配になる。しかし熱が下がったことにより、Yの表情も明るくなってきた。年末の旅行が話題になり始めた。

 19日(金)。熱が下がったといってもCRPは13.26とまだかなり高い。炎症はちっとも納まっていない。白血球も1150と少なく、増加する様子もあまり見えない。

 (好中球が311と少ないことから判断)血小板は34と正常値の3分の1ぐらいにしか回復していない。輸血をしてこの値だから、輸血がなければすぐに内出血が始まるだろう。

 「本当に自力で回復するのだろうか」いつもの不安が頭をもたげるが、主治医は力強く「回復します」と言っていたのだからそれを信じるしかない。そう思いつつ、「本当はかなり厳しい状態なのではないだろうか」という疑いが晴れない。


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