漢方薬とステロイド剤の効き目

 さて漢方薬はどうだったのかといいますと、一つだけ紹介されました。普通は「ツムラ」あたりから出ている漢方薬が処方されるようですが、私がお世話になった先生はそのようなものは紹介せず、なんと「蝉体」という生薬を紹介してくれました。

 漢字読めるでしょうか?蝉(せみ)の体と書いて、「せんたい」と読みますが、実態は本当に蝉の抜け殻です。よく木にくっついているかさかさの殻ですね。小学校ぐらいの時は誰もがこの抜け殻を集めたりすると思います。

 これを蝉体と呼んでいるようですが、中国では漢方として使われているようで、改めてウィキペディアで調べてみるとかゆみ止めと解熱作用があると書かれています。

 この殻をすりつぶして煎じて飲むと良いと言われ、実際に飲んでも見ましたが、お世辞にもおいしいとはいえず、またその効果もなかなか現れず、これは短期間で挫折

 漢方にしろ温熱療法にしろ、体調が良くなるまでにいずれも時間がかかりことがネックであることが分かりました。

 アトピーというものは、生まれたときから持っている過敏症の1種だと解釈していますが、悪化してから治そうとすると、ひじょうに時間がかかります

 また症状そのものが周期的にあらわれるため、患者は自分の症状が良くなっているのか悪くなっているのか的確に把握できず、ついついいろいろな療法に手を出して挫折、ということを繰り返してしまいます。

 実際アトピーが良くなる過程では、いったんそれまでの反動で症状が悪化することがあるようで、これもまた自分が良くなっているのか悪くなっているのか混乱させる原因になっています。

 そして患者本人を混乱させながら、症状は全体として良くなっていったり悪くなっていったりします。喘息と違い、すぐに効果が見えないのが最大の不安感といらだちを感じさせます。

 とすると、患者としては、「自分がやっていることは正しいんだ」、という確信を持ちながら、「長期に渡って病気と付き合う」、という覚悟が必要だと私は最近思っています。

 というわけで私自身も、症状が良くなったり悪くなったりを繰り返し、その都度気分的に良くなったり落ち込んだりしてきました。

 ただ一貫してなんとか症状を改善しようと努力してきたことは確かです。しかし症状がひどくなると、ほぼ全身が痒くなったり、一部の皮膚が変色したり、皮膚そのものが乾燥して掻くとそのままパラパラと落ちてきたり、傷が出来てそこから膿が出たりしました。

 通常の風邪みたいなものなら1週間もすれば治りますが、これらの症状は場合によっては数ヶ月も続き、やはり気分的に落ち込みます。今でしたらネットで症状について情報交換が出来たのではないかと思いますが、当時はただただ耐えるだけでした。

 そんな中で医者に行くと必ず渡されるのが「ステロイド剤」です。今となってはその名称もほとんど忘れてしまいましたが、これらを塗ると確かに数日で改善されます。

 しかし一方で数ヶ月経って自力で治らないものが、薬を使えば数日で治るという現実から、それだけ薬の作用が強いということを認識し、逆にその副作用が心配になりました。

 症状がひどいときはほぼ全身ですから、全身にステロイド剤を塗り込むことになりますが、本当にそれで良いのか、やはり自然治癒が望ましいではないかという不安にいつもさいなまれていました。

 試しにネットでアトピーに効くステロイド剤を検索してみたところ、記憶の片隅にある名前がいくつも出てきました。主なものを挙げると「オイラックス」「リンデロン」「ベトネベート」「フルコート」「マイザー」などで、ほとんどのものは強い作用を持つものでした。

 これらを使用すると痒みはほぼ一瞬にして消え、数日後肌はちょっと赤みを帯びたすべすべの状態になります。妙にテカテカした印象です。しかしそれも長くは続かず、再び痒みが徐々に増してきます。

 結局前にも書きましたが、これらの薬は症状に対する対処療法薬であって、体質改善薬ではないということです。

 つまり症状悪化をくい止め、ある意味で体質改善を先延ばししているだけです。従って症状が改善しているときに患者は出来る限り体質改善の努力をしなくてはなりません。

 しかし治るとそれで良しとしてしまうのが現状で、働きながら気長に体質を代えるというのは至難の業だなというのが率直な感想です。



ステロイド剤以外


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