野菜にも微生物が付着

ノーベル生理学賞受賞のニュースを聞いて(2015.10.6)

 今日は朝からノーベル医学生理学賞受賞の話題が一杯。土の中の微生物から抽出した物質が病気を直すということで、まあすごいもんだなと思いながら、新聞を読んだりテレビのニュースを見たり。

 しかし新聞の記述で「へえ〜!」と思ったことがいくつか。私が読んでいるのは毎日新聞ですが、朝刊の記事の中に「土壌1gの中には、約1億匹の微生物がいる」と書かれています。

 つまり1gの土の中に日本人の人口に匹敵する微生物がいると言うことで、当然10gなら10億匹、100gなら100億匹となり、世界の人口に匹敵しそうです。

 さらに受賞者の大村さんは、各地で土を採取したと書かれていて、その中で伊東市のゴルフ場周辺の土の中にいた微生物から、新しい抗生物質を作り出したと書かれています。

 そこで思ったのは、いったい何箇所ぐらいから土を採取したのかということ。そしてなぜ伊東市のゴルフ場周辺を選んだのか、ということです。新聞では業績面に焦点があてられ、こういったそれこそ泥臭い疑問には触れていなかったのが残念です。

 しかし改めて思ったことは、土の中に多数の微生物が存在することによって土壌と言う形が形成されていると言うことで、そこには、人にとって有用な微生物や有害な微生物も多数含まれているのだと思います。

 そんな土の中で、私は日々家庭菜園で野菜を育てているわけですが、当然採り立ての野菜には土がいっぱいついています。もちろん食べるときは水洗いをして、この土をきれいにしているつもりですが、1gに1億匹も微生物がいれば、当然微小な土が残っていれば、そこに何万匹もの微生物がいて、それをもしかしたら一緒に食べているかもしれないなと感じました。

 またこういった微生物が生産する(排出する?)様々な物質を今回は医薬品として生産することに成功したわけですが、だとすればそういった物質が畑で育った野菜には付着している可能性があります。

 もちろんこれも人体にとって有用な物質と有害な物質があるのだと思いますが、そういった物質が煮たり茹でたりしたお湯の中に含まれている可能性も大きいです。

 もちろんその量は本当に僅かなものだと思えますが、人間の生理はちょっとしたホルモン分泌によって均衡が保たれているわけですから、時にはそういった物質の影響を受けてしまうのではないかとすら思えます。

 一方人間の免疫系は、良いものをとり込んで活用し、有害なものは分解して排出すると言う機能を持っていますから、いたずらに心配する必要はなく、むしろ免疫系が活発に活動できる環境づくりに役立つのではないかとすら思えます。

 つまりごく普通の土の中で育つ、家庭菜園で取れる作物には、作物本体はもとより、それに付着している微生物や微量物質があり、それらを摂取することによって体が丈夫になるという側面があるのではないかということです。

 逆に言えば、最近話題になっている、無菌の工場で作られる、有害物質をすべて排除したような野菜には、そういった荒々しいパワーが無いと言うことになりそうです。

 個人的な考えですから真偽のほどは不明なので、なんともいえませんが、先日来我が家の家庭菜園では、無骨なニンジンが次々と出来、抜いた瞬間にあたりに漂うニンジン臭さに、「これこそニンジン!」と内心でつぶやいて喜んでいます。

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