いざ、出発!

出発だ〜!

 可愛い妻子を埼玉に残し、気弱な中年おじさんは成田空港に向かった。どんなに年をとっても、初めての海外一人旅は緊張する。家を出発する間際まで、パスポートや航空券のチェックに余念がない。

 パスポートをきちんとバッグにしまった瞬間に、航空券を入れた場所を思い出せなくなり、慌ててバッグの中身を床にぶちまける。

 パスポートと航空券をようやくの思いでしまい込み、ほっとして3分。今度は持病の薬がちゃんと日数分入っているか気になり、機内預け用のバッグの中身をぶちまける。

 こんなことを数回繰り返しているうちにだんだん出発前から疲れてくる。ストレス解消に出かけるのだか、疲労を積み重ねに行くのだか自分でも不明になり、「くそー!こんな面倒な旅行じゃなかったはずだ」と自分に怒り、「もっと気楽に行こうぜ」と自分を鼓舞し、「いやいや、それでも現地で苦労するのは大変だから」と、再び持参するものの確認を繰り返す。それやこれやで疲れ果てたころ、出発時間。

 ここまでくれば、男一匹行くしかない、なんて諦めとも勇気ともつかない感情を抱きつつ、ハワイ旅行とは雲泥の差の荷物を持って(もちろん極端に少ない)女房、息子にしばしの別れを告げる。

 この辺りロマンチックなBGMが流れ、背景に海が描かれるところだが、女房はいつもの出勤とほとんど変わりなく、息子は息子で私が買い与えたプレステ2のドラクエに夢中。私の顔を見ようともしない。まあこんなもんかと思いつつおじさんは最寄り駅に向かう。


空港は遠いなあ

 成田までは家族連れなら乗用車、一人で行くなら池袋、日暮里を経由して京成電鉄を使えば安く早くいける、ということが分かっていた。(最近は最寄り駅からリムジンバスを使うことが多い)

 キャスター付きの小さなスーツケースをごろごろころがし、「どうだ、俺はこれから海外に行くんだぞ」てな調子で、ちょっとばかり優越気分に浸る。もっとも内心、成田までのルートと成田での手続きの復習に余念がない。

 空港に着いたら、最初にコートを預ける。預ける時にはマイレージが加算されるようにカードを使う。(実際に使ったのは帰国後)次にチェックイン。ここで時間が出来るので、軽く昼食。昼食は機内食もあるので軽く「そば」ぐらいかな。

 続いて屋上に行き、しばし飛行機の観察。さらにラウンジでくつろぎ、時間が来たら手荷物検査。

 ちなみに両替はバンコクで行った方が有利という事前の情報を活用し、成田では両替無し。手荷物検査時にはパスポートと航空券を渡し、モノレールに乗車。後は待合室で待てばよい。なんてことを繰り返し復習しながら池袋に向かう。

 池袋から日暮里に行き京成スカイライナーに乗り換える。通常の特急に較べると時間にして約15分早く到着する。

 また座席は二人がけで足元も広い。ちょっとした旅行気分に浸れるが、残念ながら沿線の景色はひたすら住宅地が続く。こんなんで特急料金1000円?と思いつつ、二人がけ席を一人で占有し、まあいいかなんて思ってしまう。


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