エメラルドホテル

リムjンタクシーを満喫

 やがて空港周辺の大渋滞をどうにか脱出し、車が流れ始めた。車がいなくなると同時に運転手さん、どんどんスピードアップ。片側4車線ぐらいの広い道路なので、車が少なければ問題はないと思うが、まだ少なからずもたもた走っている車もいる中を80kmぐらいの速度で軽快に飛ばす。

 時に車間は10mぐらいになり、思わずブレーキを踏む右足に力が入る。いやはや、なんともすさまじい、というのが率直な感想だ。

 車はどんどん南に向かう。慌てて暗がりの中で地図を取り出し、どこを走っているのかを確認。どうやら一旦市内に入って、それからホテルに向かうようだ。そうしないとホテルにうまく進入できないのだろう。

 しかし見知らぬ夜道で、ひたすら吹っ飛ばされると、どこに連れて行かれるんだろうと、弱虫おじさんはかなり不安になる。というわけで、暗い車内で地図を必死に見る。

 しかしさすがリムジン。大金をはたいたことはある。空港から約30分で、ついにエメラルドの表示が見えてきた。

 やった〜!初めての場所で無事到着だ。思わずほっと胸を撫で下ろした。タクシーはするするとロータリーに進入。ボーイが恭しくドアを開けてくれる。内心ドキドキしながら、ちょっと偉そうにホテル前に降り立つ。想像以上に立派なホテルだ。若干の興奮を覚えつつロビーへ。


エントランスの豪華さに度肝を抜かれる

 ドアボーイの横をすり抜け、スーツケースをゴロゴロ転がしながらホテル内に入る。私は旅行が好きなので、ホテルと名前が付くところにはずいぶん宿泊している。

 ただしその大半はビジネスホテルと呼ばれるもので、いわゆるシティホテルと呼ばれる(格付けされている)ホテルには、あまり宿泊体験がない。

 ビジネスホテルの場合は機能的に作られることが多いので、フロント近辺にはほとんど余裕がない。

 しかしこのホテルはまったく違った。入った途端に大きな吹き抜けが目に付き、広大な空間が広がる。その左側にフロントがある。フロント前には数名の美女と、カウンター内にはこれも数名のフロントマンが控えていた。

 睡眠不足で(何回も書いたが私は早寝早起きが得意。このときの時間は日本時間夜中の12時。日本ならとっくに寝ている時間なのだ)もうろうとした頭を抱えながら、フラフラとフロントに近づく。

 いきなり美女からの挨拶だ。「サワディーカー!」、心持ち語尾が上に上がるイントネーションで迎えられ、早くも心臓は早鐘だ。別にドキドキする必要はないのだが、見知らぬ場所で一人という状況は、否が応でも緊張を強いるのだ。

 ここでの手続きは、かねてメールで送付されてきたサイアムネットからのバウチャーを、フロントマンに提示すればいいだけなのだが、なんと私はこのバウチャーをスーツケース奥に仕舞い込んでいた。

 さすがに慌てた。「wait a minutes please」という英語が口から出ただけ立派だったと思って欲しい。

 フロントの前でスーツケースの中身をぶちまけるわけにも行かず、ほんの少しだけ口を開け、そこから手をいれ、ようやくバウチャーを取り出した。早くも田舎者の雰囲気を露呈してしまった。フロントにいた美女は、ちょっと呆れ顔であった。

 失態を取り繕うように、これをフロントに提出。確認を求める。ここから先はスムーズだった。宿泊予約が確認され、デポジットとしてクレジットカードの提供が要求されたが、これは予想していたことなので、すぐに取り出した。

 部屋番号の紹介が行われ、さらに朝食ビュッフェのクーポンが5日分渡された。この間拙い英語で応対していたが、その声を聞きつけたのか、突然欧米人の大柄なフロントマンが登場。

 何か失態でもしでかしたかと一瞬緊張するが、なんとこの人日本語をしゃべる、ひじょうに気さくなフロントマンであった。

 滞在中何かあったら是非私に申し付けてください、と言われ、こちらも恐縮。ありがたく好意に甘えることにした。というところで手続き終了。荷物運びのお兄ちゃんが呼ばれ、エレベーターへ。



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