券売機

出来たばかりの地下鉄に向かう

 寒い日本から行ったせいだろうが、かなりの暑さを感じる。朝晩は半袖ポロシャツ、昼はTシャツぐらいがちょうどよい。さて、ファイクワーン駅はホテルを出て北に数百mだ。その間を田舎者丸出しであちらこちら眺めながら歩く。

 道路幅が広いので向かい側の建物は良く見えないが、エメラルドよりは格上のような大きなホテルが見えた。左側には例の男性向けマッサージの店が連なっている。

 それにしても個々の建物がでかい。威風堂々といった感じだ。やましさは微塵も感じられない威容だ。もちろんまだ朝だから営業はしていない。

 辺りには早くも排気ガスの匂いが漂う。歩道のあちこちにバイクが数台集まっている。どうやらバイクタクシーのようだ。私はバイクの後ろに乗ったことはないので、今回の旅行では1回も利用しなかったが、狭いところをちょろちょろ走る分には便利そうだ。

 もっとも値段は交渉性のようなので、おじさんとしては面倒に感じる。きちんとマスクをしているお兄ちゃんを何人も見かけたので、やはり地元の人にとっても、この排気ガスは辛いようだ。

 駅入り口が見えてきた。これはすぐに分かる。何故かと言うと歩道より5〜6段階段を上がる形になっているからだ。

 地下にもぐるのに階段を上らなければならないのは体力的にも建築学的にも不経済この上ないが、どうやら雨季の豪雨で大量の雨水が地下に流れ込むのを防いでいるらしい。ちょっと科学的な思考を展開するおじさんであった。

 階段を軽やかに上がると、そこにはちゃんとエスカレーターが設置されていた。隣には階段もあるのだが、こちらを利用する客は皆無と言ってよい。何故かと言うとエスカレーターがとてつもなく長いからである。

 そのせいかどうか、エスカレーターの速度も日本より速いように感じた。お年寄りはどうするのだろうか。

 つい余計なことを考えてしまうが、そういえばヨボヨボのお年寄りはあまり見かけなかったような気がする。出歩かないのか、短命なのか。ハワイでよく見かける車椅子も、滞在中一度も見なかった。


券売機で困惑する

 地下に降りて驚いた。広大な空間が広がっているのだ。何もそこまでしなくてもと思えるぐらい広大だ。

 だだっ広い空間を横切り、券売機が設置されていると思しき壁面に向かった。この広い空間(しつこいですね)に、なんと券売機はたったの2台のみであった。(これを言いたかった)どうもよくわからない。とりあえず2台ぐらい設置しておけば事足りるということだろうか。

 事実、券売機を利用している人はあまりいない。というわけで小心者のおじさんは、券売機の販売システムを詳細に観察することが出来たのである。

 券売機は液晶のタッチパネルが付いて駅名が表示されていた。近代的だ。しかし駅名は当然タイ語だ。おじさんは困った。

 慌てて地図なんぞを取り出し、駅の配置を見比べているうちに、パネルの右上方に「English」と書いてある表示を発見。なんだここにタッチすればよかったのだ。

 早速タッチ。駅名が一斉に英語に変わった。そこでさらに目的地の駅名シーロム駅をタッチ。どうやら手順に間違いはないようだ。続いて購入のための金を入れる。

 BTSはコインしか使えないが、地下鉄は紙幣も使える。紙幣の挿入口があったので100B紙幣を入れる。ところが券売機には100Bは使えると書いてあるのに、機械が受け付けない。ここまで順調に進んできただけに、尚更焦る。

 幸い周囲に順番待ちをしている人はいない。紙幣の上下を逆にする。受け付けない。裏表を逆にする。やはり受け付けない。新札だからいけないのかもしれないとようやく気づき、ちょっと紙幣をごしごしこすったり曲げたりしてみた。やはりダメ。

 とすると目的地まで窓口で切符(トークン)を買うか、両替をするしかない。しかしタイ語しか通じないだろうなあ、と思いつつ背に腹は代えられないので、窓口に近づき「Exchange please」。

 ちゃんと通じた。窓口のお姉さん、嫌な顔はまったく見せずに、むしろ分かっているわよと言わんばかりに、きちんと細かい紙幣とコインに両替してくれた。

 この時点では、まだこのコインが何Bに相当するかわからなかったので、先ほどの券売機に取って返し、20B紙幣で目出度くトークンを購入。続いて数秒たってお釣りがチャリーンと出てきた。

 お釣りが出るまで結構時間がかかる。うっかりすると取り忘れてしまいそうだ。黒いトークンを子供のようにしっかり握り締め、次は自動改札に挑戦だ。この改札は、この黒いトークンを所定の場所にかざすことによって、バーが開くようになっている。ここも無事通過した。


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