地下鉄の乗客達

地下鉄に乗車し、周囲の人間を観察する

 改札からは再びエスカレーターで下降する。かれこれ40mぐらいもぐったのではないだろうか。行き先の方面を確かめる。

 ホームと線路の間にはドアがあった。地下鉄はこのドアの位置にぴったり停車する。するとホームのドアと電車のドアが両方開く仕組みだ。乗客が線路に落ちないような配慮だろう。

 やがて列車到着。昨年出来ただけあってまだ美しい。ドアが開いたので、人の波に従って乗車。座席はすべて満席だが、混みあっていると言うほどではない。乗車した瞬間、なぜか乗客からの視線を感じた。

 別に変な服装をしていた訳でもないのだが、やはり何か違いを感じたのだろう。注目される理由が皆目わからなかったので、知らん振りしてそのまま乗っていた。

 もしかしたら、自意識過剰かもしれないし、乗車する様子がなんとなくおどおどしたものだったのかもしれない。

 少したって周りの乗客を見る余裕が出てきた。ほとんどの男性が襟付きシャツを着ていた。中には長袖を着ている人もいる。私はみんなTシャツだと思っていた。

 男性の髪型は73分けが多い。地下鉄はバンコクでは高級な乗り物と考えられているらしいので、乗客たちもそれを意識しているのかもしれない。

 サンダルを履いている人も少ない。革靴やスニーカーだ。男性はみんな真面目そうだ。髪の毛の色が茶色、なんていいう人は皆無だ。みんな物静かだ。通勤時間でもないのに、どこに行くんだろう。

 美しい女性が多い。色白の北方系美女とちょっと浅黒い肌の南方系美女が混在している。両方に共通しているのは、目がパッチリしていること。これは美女の条件として大きな要素だ。

 もっとも、おじさんとしては切れ長の目を持った美女も良いと考えている。もっというと実は自分に好感を持ってくれる女性なら誰でも良いようにも思える。

 さて、電車そのものの騒音はかなり少ない。乗り心地も良い。駅が近づくとタイ語と英語でアナウンスがある。英語はずいぶん助かった。

 駅と駅の間隔は2km前後だろうか。けっこう頻繁に停まる。その度ごとに、ホームと列車の間が開いているので注意しなさい、という親切なアナウンスが流れるのだが、毎回聞かされると少々うっとおしい。

 目的地のシーロム駅は8駅目。15分ぐらいで到着した。またまた人の流れに沿ってホームを進み、壁面の案内図を見て目的地の出口に向かう。

 この案内図は分かりやすかった。出口に番号が振ってあるので、目的地が地図上で分かっていれば、すぐにどこから出ればよいかわかる。

 改札口が近づいてきた。黒いトークンをどのようにして改札を抜けるのかよくわかっていなかったので、一旦列をはずれ、どうするのか見守った。すると改札機の手前にあるコイン挿入口に入れていることが分かった。ここに入れると改札が開く仕組みだ。

 慎重派の私はここまで納得して、ようやく改札を抜け出たのである。多少の失敗や困惑はあったものの、一人で何も頼らずに初めての土地でなんとか目的地までたどりつくことが出来たのは、ちょっとした自信につながった。以後地下鉄なら任せろ、と急に気持ちがでかくなった。


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