JCBプラザへ

交通渋滞、排気ガス、人、屋台が一気に押し寄せてきた

 地下鉄をシーロム駅で降り地表に向かった。これまた長い長いエスカレーターを上る。明るい陽光の元に出た瞬間、けたたましい騒音、大勢の人が行き交う喧騒、人と乗り物と屋台が混在する、これまでの人生経験では遭遇したことのない空間に放り出された。シーロム駅 交差点

 上を仰げば高架上をBTSが行き来し、道路上は乗用車とタクシー、トゥクトゥク、バイクが押し合いへしあいしながら渋滞している。

 歩道上には、得体の知れないものを売る屋台がせり出し、人が歩ける幅は1mぐらいしかない。そこへもってきて多数の人々が屋台の食物を買ったり食べたりするために立ち止まり、さらにその隣を忙しそうに人々が行き交う。

 うわー!これこそこれまで旅行記で読んだバンコクそのものだ、と認識はしたものの、やはりしばし呆然。これは最短距離で目的地まで行かないと耐え切れそうもない、と考えて一直線にJCBを目指した。とはいうものの人が多く、そんな簡単には進めない。

 犬
がいて、物乞いがいて、屋台があって、得体の知れないものを食べている人がいて、バス停で待っている人がいて、ただ単に佇んでいる人がいて、フラフラしている人がいて、忙しそうに歩いている人がいて、客を捕まえようと待ち構えているバイクやトゥクトゥクの運転手がいて、もうともかく、ぐちゃぐちゃだ。

 それでもなんとか少しずつ前進していくと、信号のない交差点に出た。交差点の脇道からは本通りに出ようとしている車やバイクが歩行者を遮り、そちらだけを見ていると本道から脇道に入ってくる車に轢かれそうになる。

 しかも歩行者がちょっとでも躊躇する様子を見せると、バイクや車が猛然と突っ込んできて、いつまでたっても横断できない。

 ここは強気で行くしかないという認識に至ったが、とても単独では渡れない。地元の人は慣れたもので、車やバイクの間隙をついて、巧みに横断している。

 すぐにはその真似は出来そうもなかったので、地元の人の流れに従って横断することにした。なんとも疲れる街である。道路1本横断するのにとてつもなく神経を使う。


なんとかJCBプラザに到着

 シーロム駅を出発し、400mぐらい歩いただろうか。なんとか目的とするビルに近づいた。ビルの屋内に入ると、そこは冷房の効いた、日本となんら変わらぬオフイスビルだった。

 違っているのは、その近代的なオフイスビルの真ん前に、雑多な屋台が立ち並んでいることだ。昭和の日本と現在の新宿が時を隔てて同居している印象を受ける。

 エレベーターでJCBに向かった。ハワイのそれに較べると空間的にはかなり小さいが、必要最小限の資料は揃っているようだ。先ずはどんな資料があるか室内を物色した。

 カウンターでは60歳ぐらいと思われる男性が、受付の美女と話しこんでいる。オプショナルツアーの申し込みかと思っていたら、どうやら単なる世間話だ。声が大きいので否が応でも聞こえてしまう。

 男性曰く「昨日はどこそこに行ったんだけど、なんとかがなんとかでね〜」。美女の返答。「そうですか〜。それは良かったですね〜。」延々とこれの繰り返しだ。

 どうも話の雰囲気からすると、バンコクで暇を持て余したおじさんが、JCBの美女の愛想がいいことに好感を持ち世間話を続けているらしい。

 これは本来の仕事とは違うだろうなあと思いつつ、私自身もオプショナルツアーの予約をしたかったので、おじさんの横に座った。その姿を見て、奥から別の美女が現われた。私は素直にオプショナルツアーの予約をしたいという希望を告げた。

 「どんなツアーが?」と聞かれたので、日本での予習通りカムチャナブリに行きたいことを伝えると、パンダバスとウエンディのパンフレットを用意し、両者の違いを丁寧に説明してくれた。

 両者の違いは食事の形式と、現地で乗車する列車の等級にあるらしい。どちらでも大差は感じられなかったが、ウエンディの方が若干安く、また当日はホテルまで迎えに来てくれるという事なので、ウエンディに決定。早速予約をお願いした。

 さらにウエンディさんには、夕食とタイ舞踊鑑賞のクーポンがあったので、これも合わせて予約した。

 こちらはまさにこの予約した当日夜のツアーでシーロムビレッジで行われる。値段は340Bなので、日本円にして900円ぐらいだろうか。これで夕食と舞踏鑑賞ができるのだから、物価の安さを実感できる。カムチャナブリは疲れを考慮してあさってを予約した。

 これで私自身の今回の旅行の行き先の骨格が固まった。ちなみにJCBで予約した理由は、JCBのカードで支払えばツアー代が1割引になると書いてあったからだ。この手続きをしている間に、隣のおじさんはいつのまにか別の座席に移ってしまった。世間話だったので遠慮したのかもしれない。


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