エメラルド寺院

エメラルド寺院

 さてゲートをくぐって、いよいよ王宮観光だ。出たところがエメラルド寺院の横っ腹辺りだ。いきなり目前に壮麗で華美で豪華な建物が現れる。あたり一面キンキラしている。青空からの陽光が、建物に反射しまぶしい。

 「うわ〜!すげえ!」内心の感動である。次に「こんなものよく作ったなあ」と続く。さらに「いったい、いくらかかったんだろう」と世俗的な疑問が浮かぶ。

 ともあれ記念写真だ。あちらこちらの角度から撮影。ガイドブックやインターネットで見たものと同じ風景が目の前にある。

バンコク 王宮
仏塔


 人間とは不思議なもので、ガイドブックの写真をいくら眺めてもちっとも実感がわかず、すぐに忘れてしまうが、自分の目で見たものはしっかりと記憶に定着する。

 たとえ光景そのものは忘れても、そこに行ったことはず〜っと覚えているし、再度行ったときすぐに思い出すことも出来る。やはり体験は大切だなと職業柄実感する。

 順路に沿って歩みを進めていくが、次々と展開する建造物や複雑精緻な像の偉容に度肝を抜かれっぱなしだ。それにしても金色が好きなんだなと感じる。また路上には物乞いがいるのに、どうしてこんなにりっぱな建物が建造できたのか、首を傾げてしまう。

 もっともこれを建造したのは、かなり昔であろうから、今の経済情勢で物事を判断してはいけないのかもしれない。世界史は大嫌いだったので、この辺のからくりはよくわからないというのが実感だ。

 エメラルド寺院は、金色の中に緑が点在する、という色彩的印象を強く持った。ここは靴を脱いで院内に入ることが出来る。中は撮影禁止だが、大勢の人が中にいて何をするでもなくしばらく滞在してはまた出ていく。

 日本ならここで高僧なる人が出てきて、ちょっとした説法なんぞを行うところだが、そんな様子はまったくない。そういえばバンコクの僧侶たちは、みなオレンジ色の衣服を着用しているが、あの色にも意味はあるのだろうか。今まで考えて事もなかった疑問が、新たな体験により次々と浮かんでくる。

 しばし座り込んで、バンコクの仏教や建物の構造に思いを馳せたが、もともと仏教への関心も薄く、世界史を不勉強なおじさんにとっては、猫に小判である。地元の人にとっては幽玄な空間であろうが、「すごいなあ」という月並みな感想しか持ち得ない自分が、ちょっと情けない。

 しかも内心、急を要して考えていたのは昼飯をどうするかというせっぱ詰まった俗事であるから、ますます仏教とは縁遠い。

 さて、エメラルド寺院を退出し、順路に沿って歩いていくと、通りを挟んで美しい建物が並ぶ。ガイドブックに寄れば「仏塔」「経蔵」となっているが、違いも分からず、ただ単にその均整の取れた美しさに感動するばかりである。それにしてもとがったものが好きだなあ、とこれまたろくでもないことに感心し、写真をバシバシ撮る。炎天下の元だいぶ疲れてきたが、まだ先は長そうだ。

バンコク 王宮
バンコク 王宮
経蔵
三つ並んだ最後の建物
名称よくわからず

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