毒蛇研究所ツアー

 9時20分にホテルロビーに降り新聞を読んでいると、5分前にガイドさんが到着。バンコクの人は時間に不正確、なんていう記述をずいぶんインターネットや本で見かけたが、時間に遅れるのはむしろツアー客本人のようで、ツアー会社側が遅れたことはこれまで一度も無い。

 早速昨日アユタヤツアーと同じ大きさの10名乗りぐらいのバンに乗り込んだ。車の中で今日のツアー客は私を含めて5人で、あとの4人はひとつのグループであるとの説明を受けた。

 今日のツアーは毒蛇研究所シーウイ博物館という、かなりマニアックなツアー。乗り込んで、車は本来の集合場所である伊勢丹に向かった。朝なので道も比較的すいている。

 車は定刻の15分前、9時45分に到着。そのまま駐車場に移動して待機という事で、私とガイドさんが伊勢丹入り口で待つ。しかし時間が早いので、当然伊勢丹はまだ開店前。入り口の前で、特にすることも無くボーっと待つ。

 今日のガイドさんは、ツアーの性質からなのか男性である。最初に会ったときは、タイ人特有のギョロッとした目で睨みつけるように私を見たので、なんかおっかなそうなおじさんだなと感じたのだが、待ち時間で無駄話をしている内に、実は心優しいおじさんだという事が分かってきた。笑顔でいろいろ教えてくれる。どうも第一印象は当てにならないようだ。

 9時55分、定刻の5分前、4人組登場。すぐに車に乗り込み毒蛇研究所へ移動だ。ツアーなので道順等あまり気にしていなかったのだが、車の中で改めて地図を確認すると、この研究所、かなりタニヤに近い事が分かってびっくり。

 これなら一人でも行けたかな、と思った。但し午後のシーウイ研究所は一人では行く勇気がなかったので、それはそれで良いだろう。

 10時10分到着。案内されるままにずんずん進んでいくと、右手に白い建物、左手にちょっとした広場があり、いくつかの檻が見える。当然だが、中にはかなり大きな蛇がいる。
 
大きな蛇がいた毒蛇研究所のケージ

 白い建物は毒蛇関連の病院と言うことであったが、かなり老朽化している。

毒蛇研究所内の病棟?

 10時半にスライド上映が始まるので、それまでその辺で待っていてくださいとのガイドさんの言葉に従い、檻の中のコブラを観察したり、古ぼけた埃をかぶったような土産を見たり。

 



 10時30分近くなって、突然周辺でぶらぶらしていた十数人の観光客が移動を始めた。その流れに従って先ほどの白い建物に入り、廊下の突き当たりに近い講義室と思しき部屋に入る。中には50脚ぐらいの椅子が並べてあって、各自適当な場所に座る。

 やがて上映が始まったが、かなり古いスライドの上、解説はタイ語と英語のみなのでヒヤリングが辛い。とはいうものの、要は各種の蛇の名前、性質や毒性みたいなものを延々と説明しているだけのようだ。

 最初はヒヤリングの勉強にもなると思い真剣に聞いていたが、何やらだんだん呪文のような声に聞こえてきて、瞼が重くなってきた。こりゃいかん、と思った頃うまい具合に上映終了。

 一同分かったような分からなかったような顔をして、ぞろぞろと部屋を出て、今度は先ほどの中庭方面に向かう。右側に蛇のいる小さな庭園があり、左側の床から一段高くなったところに10段ぐらいの階段状の座席がある。

 予めガイドさんから、前の方に座らないと良く見えないよと聞いていたので、急ぎ足で移動しなんとか2列目の席を確保する。観客はいつの間にか総勢40名程度に増えている。

 やがて若いお兄さん登場。当然病院関係者なのだろうが、顔つきから育ちのよさと頭のよさを感じる。ワイアレスマイクを手に持って、流暢な英語で解説を始めた。

 そこへ今度は手馴れた様子ででかい蛇を持っておじさん登場。この蛇をどさっと床に投げ出すと、怒った蛇が鎌首を持ち上げる。なんと体長3mぐらいのキングコブラだ。これは迫力があった。

 このコブラ君、投げ出されたのが不愉快だったらしく、あちこち眺め回して周囲の人間を威嚇する。おじさんはさらに調子に乗って足で蹴る真似をしたりして挑発するので、コブラ君ますます怒り狂って持ち上げた鎌首を突き出し噛み付こうとする

毒蛇研究所 威嚇するキングコブラ

 ここに至ってようやく観客席が一段高くなっている意味がわかった。初めはなんて見難い席なんだと思っていたが、蛇の鎌首が0.7mぐらい持ち上がると、結構観客席の真下に接近するのだ。

 蛇が口を開いて観客席に向かってくるたびに最前列のお客さんは、「ワオ」とかなんとか声をあげて一斉に噛まれまいとして足を引っ込める。2段目の私ですら足が思わずピクッと動く。いやはやすごい迫力だ。

 しかし我々観客の反応と心配を他所に、蛇から2mぐらい離れた同じ床に立つ先ほどの若者は、動じる様子も無く(当たり前だが)淡々と、むしろ我々の反応を楽しむかのように説明を続ける。

 おじさんのほうは蛇を挑発するのに夢中である。足を近づけると、その足に蛇が飛びついてくるのだが、寸前に足を引っ込めるので、コブラ君ますますストレスがたまっているようだ。



毒蛇研究所(2)


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