自己評価シートと目標設定

自己評価シートとは

 およそ10年ぐらい前からでしょうか。学校全体で設定した目標に沿って、教員一人一人が何をなしえるかと言うことを明確にし文章化するというシステムが出来上がりました。

 だいたい学校全体の目標を三つぐらい掲げ、教員は教科指導、自分自身が所属する係、委員会、部活等に関して、年度当初に今年はこのような方針でやりたい、という目標を掲げます。(自己評価シートと呼んでいました)

 書かれた内容は、管理職に提出され、それをもとにして管理職と面接があります。また管理職は面接前に各教員の授業を見に来たりします。面接で、場合によっては管理職から指導助言が行われます。また教員が書いた目標について、修正等を行う場合もあります。

 最終的に教員は、年度末近くに、その年に設定した目標をどの程度達成したか、自己評価を行い、その結果を管理職に提出します。管理職は提出された評価やその内容を吟味し、再度面接を行い、教員一人一人に対して、管理職が評価を行います。

 まあこれがいわゆる評価システムといわれている概要です。これが現場にどのような影響を与えているのか、これと成果主義がどのように関わってくるのかというのがひじょうに重要な問題だと思っています。

 
目標設定

 教員は1年1年に区切りがある仕事です。またさらに1学期ごと、または定期考査の期間、さらには1時間1時間の授業にも区切りがつきます。

 従って時間にゆとりがあり、前向きな教員ならば、自分のやっていることを見直す機会は何回もあります。特に2月3月は年度の切り替わりで、学校全体もその年の総括を行い、来年度に向けて新たな目標を定めたりする時期で、それと同時進行で教員自身も1年間行ってきた授業の見直しを行います

 4月になると、教員や学校の体制は人事異動等で少しは変わりますが、昨年度からの教員はまた新しい生徒を目の前にして、どのように指導していこうかという目的意識をもつことになります。

 従って、教員が昨年度の反省をもとに、今年度の目標を設定し、文章化するということ自体は意味のあることだと思います。

 当初はそのような目的で教員の「自己評価シート」も設定されていたのではないかと思えるのですが、そこに成果主義といわれる「数値目標を設定せよ」というような指示が行われるようになってから、本来の目的が徐々に変質していったように思います。

  教員一人一人が年度当初に勤務する学校全体の目標に添って、自分の目標を設定する、というのは文章化しないまでも、良心的な教員なら毎年自然に行っていることです。

 「もう少し授業が旨くできないか」「もう少し生徒一人一人の様子を把握できなかったか」「部活にもう少し時間がとれなかったか」「会議の場で、自分の意見を述べていたか」等々、それは個人個人いろいろです。

 しかしながら、これらの目標を数値で表し、客観的な評価としてとらえていこう、という指示が出てくる頃から、どうも「個々の教員の目標意識を明確にする」という趣旨から「個々の教員の能力ややる気を数字で評価する」という趣旨に変わっていったような気がします。

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