数値目標


年度当初の目標設定

 目標設定項目でもっとも重要なのは授業だと私は思っています。従って、授業を少しでも良くしようと思い、例えば「黒板の使い方を工夫する」「なるべく大きな声で、ゆっくりと話す」「専門用語をについて、平易な言葉で丁寧に説明する」「授業を補足する手段として視聴覚機材を活用する」「授業内容を充実するため、実験を行う」「授業終了後にまとめのプリントを配布する」等々を書いて提出します。

 ところが、管理職との面接になると、「これでは具体性がないので、もう少し文章を工夫して欲しい」と言われてしまいます。自分自身では具体的に書いたつもりなので、どこに具体性がないのか話し合いをします。


目標とは数値目標?

 すると、管理職も言いにくそうに「出来れば数字で目標を表して欲しい」と言います。「???」です。「黒板の使い方をどのように数字で表すのか」悩みます。そうすると、「数値に換えられるものをなんとか数値にして欲しい」と言います。

 ではこれまで「○○デシベルの声量で講義をしていましたが、それを○○デシベルにする」というように書き換えればいいのか、または「平易な言葉の語数を○○文字数から○○文字数に引き上げる」と書けばいいのか、と内心悩みます。

 当然管理職も以前は教員だったので、その悩みは分かっていると見え、「それでは視聴覚教材を何時間ぐらい利用しますか」「実験は何回行いますか」「プリントは何枚印刷しますか」というように、数字が出せる部分について話しが進んでいきます。
 
 例えば「実験は年10回程度行う予定です」と答えます。すると途端にうれしそうな顔になって「それではその回数を目標として記入してください」と言われます。

 つまり10回行うことが目標であって、実験の内容の議論はありません。また数字に意味を持たせるとすれば、昨年よりもより多くの実験を行うことが目標となり、それが成果が上がったと評価されるわけです。

 同様に、「練習問題のプリントをたくさん活用されているようですが、年間何枚ぐらい配布してますか」と聞かれます。このあたりのことは授業見学で管理職もプリントを使った授業について把握しています。

 「だいたい最低2時間に1枚は配っていますから、年間50枚ぐらいでしょうか」と答えます。するとやはり「それじゃ、その数字も書き加えてください」と言います。

 これもまたプリントを活用することによって、どのような教育効果が現れるのかという議論ではなく、プリントを何枚印刷するかという数字の調整が論点になります。そしてこの数が多いか少ないか、または前年より増えたか減ったかで、成果が判断されてしまうわけです。


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