口内炎

 9月2日(日)、転院77日目。

 日曜なので私の母親、妹と共に病院へ。Yは熱もなく血圧も正常で元気だ。Yが元気だと母親も元気になり、いつものように話が弾む。まだ個室なので、家族だけでゆっくり話が出来るのがありがたい。明日はオンコビン投与が予定されている。

 3日(月)。若干の口内炎があるようだ。熱、血圧異常なし。体重は下げ止まり。午前中にオンコビン投与。

 さらに点滴でノイトロジン、ソルデム、またまたビーフリード。血液検査の結果は良い方向に向かっているが、全体的に血球が少なくCRPが0.50と若干高目。のどの炎症の影響があるかもしれない。ノイトロジン点滴。夕方になり突然発熱。38度弱。抗生剤投与。

 4日(火)。昨晩発熱したというメールがあったが、仕事の都合で病院に行けなかった。前回の血液検査の結果を見ると、CRPが高いので感染症の疑いが強いと判断し、その旨をメールで伝えた。

 ただし何が感染しているかは分からない。なんだか内科の医者になったような気分だ。今日も37度代の熱が続く。

 5日(水)いつもの時間に病院へ。朝わずかに微熱。右頬の裏側に口内炎が出来、舌が痛む。発熱後だるさを感じている。味覚異常もある。眠気もある。

 主治医は、「それほど慌てなくても良いでしょう」という見解だ。日頃副作用で重大な変調が起きることがあると聞かされているので、つい深刻に考えてしまうのだが、今回はあまり心配する必要がなさそうだ。

 点滴はノイトロジン、抗生剤(アミカシン、セフォン)、ソルデム。食事がしにくいようなので高栄養剤。だるいのは白血球減少(320しかない)の影響が大きいようだ。

 6日(木)。朝は37度を少し欠けるぐらいになり、主治医の予想通り熱は下がってきた。午前中血小板輸血。骨髄抑制がかなり効いている。

 口内炎がひどくなったが、前回ほどではない。ただ、食べ物を飲み込むのが辛くなり、さらに味覚異常が追い討ちをかけている。抗がん剤治療の患者にとっては、吐き気の次に嫌な副作用のように思える。

 7日(金)。口内炎がひどく、食べられない、飲めない。その他の体調異常はない。点滴はノイトロジン、高カロリー剤、ソルデム、セフォン、アミカシンと多種多様。血小板を輸血。

 8日(土)。相変わらず舌が痛くて食べられない。だるさもまだ残っている。10日(月)にリツキサン投与が決定。本来なら治療開始56日目が投与予定であるから、10日ほど遅れたことになる。

 しかし日付がはっきりするということは、ひとまず快方に向かっているということだろう。点滴はセフォン、アミカシン、ノイトロジン、高カロリー剤、ソルデム。相変わらず熱はなく、血圧や酸素も異常なし。

 10日(月)。口内炎が治ってきたが、だるさが強い。熱は微熱。昼前に抗アレルギー剤、ボララミン、ブルフェンを服用。昼過ぎ赤血球輸血。さらに点滴でソルデム、高カロリー剤、ノイトロジン、そして本日のメインであるリツキサン。

 明日はアドリアシン、エンドキサンとなり、体が復調してきた途端に次の抗がん剤治療となる。今回の治療は、体内に常に抗がん剤を還流させて、細胞分裂のさまざまな段階に薬を作用させ、徹底的にリンパ腫細胞をやっつけるという治療だ。効き目が強い分、体への負担も大きい。

 正直なところ、治療を行っている最中には、そこまで考えが至らず、単に通常の治療よりも強いということしか認識していなかった。

 しかしその後いろいろな本を読んで、自分なりに勉強したところによれば、通常はR―CHOPで行うべき治療を、あえてCyclo BEAP療法にしたのは、病院側もYのリンパ腫細胞の勢いや悪性度がかなり強い、ということを認識していたのだろう。

 そのため強力な化学療法を行わざるを得ず、その結果生じるであろう副作用や感染症について細心の注意を行っていたわけだ。よくぞここまで数々の副作用を乗り越えてきたものだとつくづく思う。

 同時に、明日からの最後のサイクルが順調に進むことを願う。今日になってようやくゼリーを食べる事が出来、食欲が戻りつつある。


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