高熱に耐える

 10月3日(水)の朝は37度代だったが、午後に入りぐんぐん上昇して、最高は39.1度となり、またしても解熱剤。最後の発熱だろうとは思ったが、上下動が激しい上、普段出たことのない39度代の熱があっさりと出てくるので、仕事をしていても気が気ではない。

 血液検査結果を見ると、LDH、ALPは下がっている。一方CRPは3.33と上昇しているので、リンパ腫の影響ではなく、感染による炎症だろうと勝手に判断する。

 たまたま主治医が来たので話を聞いてみると、やはり感染症が疑われるとのことで、血液検査結果の見方も分かってきたんだなと納得する。ただ私が納得してもYの熱が下がるわけではなく、単なる自慢にしか過ぎない。

 また骨髄抑制がかなり効いていて、すべての血球が少ない。そのため血小板と赤血球を輸血。赤血球は文字通り赤い色をしているが、血小板は黄色だということを始めて知った。しかも日によって色に濃淡がある。濃い色の血小板が来たときは、なんとなくよく効く感じがするから不思議だ。

 この日は、その他に手足に直径1〜2センチメートルのはれ物ができ、それが水ぶくれになっていた。痛みもあるようで、抗がん剤の副作用としてはまったく新しいものだ。これについては後日皮膚科の医師が診断する予定だ。

 主治医はCRPが3程度なので、「数日で治るでしょう」と予想していたが、患者側としては本当にそうなのだろうか、とつい勘ぐりたくなる。

 特に私のような、病気に対して神経質で弱気な人間は尚更である。幸いなことに、Yは素直に主治医の言葉を受け入れている。そのためかどうかは分からないが、解熱剤の効果もあって、夜には平熱まで下がった。

 しかし翌日の4日(木)は朝から38.7度である。やはり解熱剤で下げても、根本的な解決にはなっていない。白血球が増えないことには熱も下がらない。

 5日(金)。「3日ぐらいで回復するでしょう」という主治医の判断だったが、回復の兆しはほとんどない。

 今日も朝から38.3度。LDH、ALPの値はさらに下がり、両者とも正常値になったが、やはりCRPが4.37と高く、体のどこかで炎症が起きている。

 炎症を抑えるための白血球の値は100で、この治療を始める前に主治医が警告していた「白血球は限りなくゼロに近づきます」という言葉が現実味を帯びてきた。

 Yは数回の熱の上下動を経験して、あまりの気持ち悪さに、「解熱剤は数時間効くけど、嫌な汗をかく。しかもその後再び熱が上がってくるとき悪寒が激しい」

 「だから発熱してもじっと耐えて、解熱剤は飲まないことにした」と言っていた。

 「我慢できるならそのほうがいい。だいいち解熱剤は体への負担が大きい」と返答。互いの意見が一致した。

 しかし血球数が少ないことはどうしようもなく、今日も赤血球と血小板を輸血。先日の皮膚の腫れ物用にゲンタシン(外用薬の抗生物質)が処方された

 その後、6日(土)と7日(日)は熱も37度代に下がり、皮膚の腫れ物も薬の効果かあらわれたのか少し小さくなった。味覚異常の副作用は相変わらず続いているものの、白血球も上がる兆しが出てきたので、これでようやく峠を越えたかと思われた。


トップぺージに戻る  第5章 副作用を克服し退院へ 再度発熱後徐々に回復へ