退院後の生活について

 10月22日(月)、転院126日目。

 主治医から退院後の注意事項について私に説明があった。

  「血液検査結果は良くなっています。当初骨髄にあったリンパ腫細胞が、現在はきれいになくなっています。ほぼ寛解に近い状態です」。主治医も病状が快方に向かっているので、話にも熱が入る。

  「退院後はリツキサンを2週間ごとに2回投与します。その後は1週間ごとに通院となりますが、経過がよければ通院期間は2週間、1ヶ月と徐々に間隔を広げていきます」

 再発の可能性は、という問いかけに対しては、「いつ再発するかはまったく分かりません。しかし万が一再発したときのことを考えて、少しでも体力を回復させておくことが目標になると思います」という答えだった。

 また、「この時期はインフルエンザが流行する時期で、抗がん剤を投与された患者さんは骨髄抑制が強いので、あらかじめ家族全員が予防接種を受けてください」と言われたので、早速親戚一同予防接種を受けた。

 さらに先を見通すと、「再発の恐れは充分ありますので、少しでも家族と一緒にいたほうがいいですよ」とアドバイスされたが、退院できるという喜びが大きく、「再発の恐れ」という言葉は、勝手に頭の片隅に追いやられてしまった。誰しも嫌なことは考えたくないだろうから、この時期の話しとしてはやむを得ないだろう。

 退院後の食べ物についても聞いてみた。

 「生野菜や果物は出来る限り新鮮なもので、手洗いを必ずしてください」とのことである。要するに白血球が少ないときに、雑菌のついた食べ物を食べると、健康な人とは違ってそれらの雑菌がすぐに増殖し、体にダメージを与えるということだ。

 翌23日(火)もまったく問題なし。24日(水)は退院に備えて購入したウイッグを販売店まで取りに行った。化学療法を行った女性のがん患者にとっては、絶対に必要なものだ。

 25日、26日と平穏な日々が続く。春先の生死を争うような入院騒ぎがうそのような穏やかな日々だ。


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